短時間・有期雇用労働者の同一労働同一賃金を考察する
当レポートは、1月に独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)に提出したレポート2編のうちの2編目です。
1.はじめに
メンバーシップ型の日本の雇用において、多くは景気変動の調節弁に位置づけられる短時間・有期雇用労働者および派遣労働者からなる非正規労働者と、雇用を守ることが要請される正規労働者との不合理と認められる待遇格差の解消等について、今回の改正された「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(以下「短時間・有期雇用労働法」という。)と「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針(平成30年12月28日厚生労働省告示第430号)」のうち、第1~第3の短時間・有期雇用労働者に関する部分(以下「指針」という。)を確認して目指すべき方向性を考察したい。
2.短時間・有期雇用労働法
(1)短時間労働法の改正
短時間・有期雇用労働法は、2020年4月施行(中小企業は2021年4月施行)として、現行の短時間労働法の題名を短時間・有期雇用労働法に改めるとともに、現行の有期雇用労働者の不合理な労働条件を禁止した労働契約法20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)を削除し、短時間労働者と有期雇用労働者を同一の法の下で規制することにした。
以下で今回の一部改正条文うち、2条、8条および9条を抜粋して確認する。
(2) 定義(2条)
短時間・有期雇用労働者との比較対象になる現行法の「同一の事業所に雇用される通常の労働者」が「事業主」とされ、改正後は現行の労働契約法20条に準じて「通常の労働者」の範囲を事業主(労契法は使用者)として広く見ることになった。
「通常の労働者」は、いわゆる社会通念上の「正規労働者」を指し、社会通念に従い、
当該労働者の雇用形態、賃金体系等(例えば、労働契約の期間の定めがなく、長期雇用を前提とした待遇を受けるものであるか、賃金の主たる部分の支給形態、賞与、退職金、定期的な昇給又は昇格の有無)を総合的に勘案して判断するものであることとされている。
したがって、フルタイム有期雇用労働者が無期転換した場合、この法律の直接的な定義に当てはまらないが、待遇が有期雇用契約と変わらなければ「通常の労働者」にはあたらず、当該者に対する不合理な労働条件は民法90条の公序良俗違反に問われる可能性がある。
なお、短時間・有期雇用労働者とは、短時間労働者もしくは有期雇用労働者のいずれか、または双方の者をいうことを定義している。
(3) 不合理な待遇の禁止(8条)
本条は、現行の労働契約法20条の有期契約労働者と無期契約労働者との不合理な労働条件禁止と現行の短時間労働法8条の短時間労働者と通常の労働者との不合理な待遇禁止を統合したもので、現行からさらに踏み込んで「基本給、賞与その他の待遇のそれぞれ」について、不合理と認められる相違を禁止した。
(4)通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止(9条)
現行の短時間労働法9条の通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止の適用対象を有期雇用労働者に広げるとともに、「基本給、賞与その他の待遇のそれぞれ」について、差別的取扱いを禁止した。
3.短時間・有期雇用労働者に関する指針
指針のうち「第2 基本的な考え方」の概要は以下のとおり。
①この指針にない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や具体例に該当しない場合も不合理と認められる待遇解消等のため、労使協議による個別具体事情に応じて待遇体系の議論が望まれる。
②低処遇の通常の労働者の雇用管理区分を新設、または通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間で職務分離等を行っても不合理な待遇の禁止規定や差別的取扱いの禁止規定を回避できない。
③通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との不合理の解消等の目的は、短時間・有期雇用労働者の待遇改善であるため、待遇相違の解消等のため就業規則を不利益に変更する場合は、労働契約法9条による労働者との合意が必要であり、合意のない不利益変更はその変更が労働契約法10条による合理的なものである必要がある。
④不合理と認められる待遇解消等のため、労使で合意することなく、通常の労働者の待遇を引き下げることは望ましい対応とはいえない。
4.雇用管理区分の細分化と格付け要件
短時間・有期雇用労働者の待遇に関して、原則となる考え方および具体例は、指針の「第3 短時間・有期雇用労働者」で示されているが、雇用管理区分の細分化と具体的な格付け要件により短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との待遇のそれぞれについて、不合理な相違もしくは差別的取扱いとならない方法を以下で考察する。
例えば「表1」のとおり5種類の雇用管理区分(無期雇用、有期雇用、フルタイム、パートタイム、無限定、限定による組み合わせ)を設け、性別はもとより正規、非正規の区分をしない雇用管理区分ごとに格付け要件を定め、それぞれの評価により待遇を決定する。
雇用管理区分のうち「限定」は、勤務地、業務内容または勤務時間の限定など各企業の実情に応じて決定することになる。
雇用管理区分ごとの格付け要件は、例えば以下のような要件が考えられるが、これも各企業の実情に応じて決定することになる。
①採用選考
・学歴(大卒相当、短大・高卒相当、不問など)
・採用地域(全国、拠点エリア通勤可能地域、拠点エリア近隣など)
・選考方法(数次の面接・筆記試験・適性検査、数次の面接・簡単な筆記試験、面接のみなど)
②業務の内容
・基幹的業務(経営企画、販売管理、生産管理、財務会計、人事、システム、研究開発、工場生産などの企業活動の中枢となる業務)
・定型的業務(一定の決められた手順、判断の下で運用され、マニュアル化が可能な業務)
・補助的業務(定型的業務のうち、判断要素が少ないパターン業務)
③業務の内容に応じた職層(責任の程度と期待役割水準)
・管理監督職層(大・中単位の組織の管理・統括指導および当該組織分掌に係る企画・立案による企業業績への直接的な寄与など)
・専門職層(専門分掌における高度熟練専門技能の発揮による対外的優位性の確立と企業業績への寄与など)
・指導職層(小単位組織の管理・指導および基幹的業務従事による分掌組織および上位分掌組織業績への間接的な寄与など)
・担当職層(分掌組織における熟練定型業務従事など)
・補助職層(上位職層指示による定型的業務の適切な業務遂行など)
④期待役割水準に応じたキャリアコースの経験要否
業務内容の変更または上位職層に格付けるために経験が必要な業務内容および当該業務内容における一定以上の等級格付けの要請
⑤職務内容・配置の変更範囲
・業務の内容の変更範囲
・当該業務の責任の程度の変更範囲
・配置の変更の範囲(部署間、エリア間およびそれぞれの住居移動の有無)
⑥その他の事情
・時間外、休日、深夜の勤務有無と緊急時対応可否
・公的資格取得要否など
雇用管理区分ごとに格付け要件が異なるため、労働条件としてそれぞれ就業規則等(給与規程などを含む)を定める必要がある。すべての雇用管理区分に共通する規定条項も多いが、雇用管理上別規程にした方が、雇用管理区分ごとの労働者が自らの労働条件を把握する上でも、規程管理上からもわかりやすい。
雇用管理区分の転換は、現行の雇用管理区分における一定の能力、経験、評価により転換資格を取得し、転換希望の雇用管理区分に応じた選考方法(初任格付け時と同程度の選考方法など)を定め、転換を可能にする。
表1の雇用管理区分では、以下のような転換を可能にすることが望ましい。
「有期雇用・パートタイム・限定」⇒「有期雇用・フルタイム・限定」⇒「無期雇用・フルタイム・限定」⇒「無期雇用・フルタイム・無限定」
なお、「有期雇用・パートタイム・限定」が労働契約法18条による無期転換を希望する場合は、「無期雇用・パートタイム・限定」の就業規則等による労働条件を適用し、上記と同様に転換を選考することになる。
表1
雇用管理区分 | 格付け要件 | ||
無期雇用 | フルタイム | 無限定 | ①大卒相当で全国から数次の面接・筆記試験・適性検査により選考
②基幹的業務、定型的業務に従事 ③期待役割水準は指導職層以上、専門職層は公的資格取得必要 ④期待役割水準に応じたキャリアコース経験必要 ⑤職務内容・配置(住居移動含む)の変更あり ⑥時間外・休日・深夜勤務・緊急時対応あり |
限 定 | ①短大高卒相当で拠点エリア通勤可能地域から数次の面接・筆記試験・適性検査により選考
②基幹的業務または定型的業務に従事 ③期待役割水準は担当職層または指導職層 ④期待役割水準に応じたキャリアコース経験必要 ⑤職務内容・配置(住居移動なし)の変更あり ⑥時間外・休日対応あり |
||
パートタイム | 限 定 | ①高卒相当で拠点エリア近隣から数次の面接・簡単な筆記試験により選考
②定型的業務に従事 ③期待役割水準は補助職層または担当職層 ④キャリアコース経験不要 ⑤職務内容・配置(住居移動なし)の変更あり ⑥出勤日、始業・終業時刻、時間外対応は予め調整 |
|
有期雇用 | フルタイム | 限 定 | 雇用管理区分が、「無期雇用・フルタイム・限定」のうち、役割期待水準に応じたキャリアコース経験不要 |
パートタイム | 限 定 | 雇用管理区分が、「無期雇用・パートタイム・限定」のうち、面接のみで選考 |
5.評価が必要な待遇である基本給・賞与・退職金の要件
「基本給」、「賞与」とも企業業績等による付加価値額に一定の労働分配率を乗じて計算した賃金原資を分配することになるが、「基本給」は、給与規程等に基づいて業務内容と職層や職務遂行能力、期待役割等の職務に関する要素や勤続年数、役資格、格付け等級等の属人的な要素等を評価して決定される。
「賞与」は、業績連動部分が加算された「賞与原資=(付加価値額×労働分配率-基本給総額)+業績連動部分」による場合が多いと思われるが、「基本給」と同様に属人的な要素と短期的な要素等を評価して分配される。
「基本給」、「賞与」は、それぞれの原資を例えば次のように分配することが考えられる。
上記の雇用管理区分ごとの格付け要件から雇用管理区分別、各雇用管理区分単位では業務内容や業務内容に応じた職層別、個人ごとの格付け等級、評価倍率等のそれぞれで個人ごとのポイントを積み上げ計算(以下「単年度個人ポイント」という。)し、「1ポイント金額=賃金原資÷単年度個人ポイントの総合計」で計算した1ポイント金額に単年度個人ポイントを乗じて個人ごとの基本給等を算出する。
簡単な例として、以下のポイントと倍率を設定した場合の東京都内勤務のAさん、Bさん、Cさん3人のポイントと基本給を算出する。3名の賃金原資は、100万円とする。
・雇用管理区分:
①「無期雇用・フルタイム・無限定」60ポイント
②「無期雇用・フルタイム・限定」40ポイント
③「無期雇用・パートタイム・限定」30ポイント
④「有期雇用・フルタイム・限定」35ポイント
⑤「有期雇用・パートタイム・限定」30ポイントとし、
・業務内容:
①「基幹的業務」60ポイント
②「定型的業務」50ポイント
③「補助的業務」40ポイント
・職層:
①「管理監督職層」70ポイント
②「専門職層」40ポイント
③「指導職層」35ポイント
④「担当職層」30ポイント
⑤「補助職層」20ポイント
・評価格付け:
「S」1.5倍
「A」1.2倍
「B」1.0倍
「C」0.8倍
・パートタイム割:パートタイム雇用者は、上記ポイント合計に(当該者の月間パートタイム所定労働時間÷月間フルタイム所定労働時間)を乗ずる。
Aさん:(⑤「有期雇用・パートタイム・限定」30ポイント+③「補助的業務」40ポイント+⑤「補助職層」20ポイント)×「C」0.8倍×パートタイム割70%≒58ポイント(小数点以下四捨五入)
パートタイム割は、Aさん月間所定労働時間112時間、フルタイム160時間(8時間×20日)とした70%で計算
Bさん:(②「無期雇用・フルタイム・限定」40ポイント+②「定型的業務」50ポイント+③「指導職層」35ポイント)×「A」1.2倍=150ポイント
Cさん:(①「無期雇用・フルタイム・無限定」60ポイント+①「基幹的業務」60ポイント+①「管理監督職層」70ポイント)×「S」1.5倍=285ポイント
上記から「1ポイント金額(2,028.4円)≒賃金原資(100万円)÷単年度個人ポイントの総合計(493ポイント)」となる。
したがって、基本給はAさん117,647円≒2,028.4円×58ポイント、Bさん304,260円=2,028.4円×150ポイント、Cさん578,094円≒2,028.4円×285ポイントになる。
なお、Aさんの58ポイントが最も低く、最低賃金は東京都985円×112時間=110,320円となる。
よって、少なくとも1ポイント1,903円≒110,320円÷58ポイントにしなければならないが、1ポイント金額が2,028.4円のため最低賃金をクリアーしている。
次に「退職金」には、後払い賃金および功労報償的賃金として一定の勤続年数で受給資格を得る退職一金制度または確定給付型の企業年金制度がある。
また、掛金算定給与等により算出された掛金を使用者が拠出し、加入者である労働者が掛金を運用する企業型確定拠出年金制度や中小企業退職金共済制度は後払い賃金といえる。
退職一金制度や確定給付型の企業年金制度は、制度設計上において功労報償的賃金の位置づけが高く、長期勤続を優遇するため無期雇用フルタイム労働者を受給資格者とする場合が一般的と思われる。
しかし、指針では、「この指針に原則となる考え方が示されていない退職手当…(略)・・・についても、不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められる。」とされる。
したがって、上記の基本給等で示した客観的な基準に功労報償的基準を加えた制度設計が望ましく、受給資格者も無期雇用パートタイムを含めるとともに有期雇用パートタイムから無期転換した者は有期雇用時の勤続年数も一定の評価により通算することが考えられる。
退職一金制度や確定給付型の企業年金制度は、制度設計や運用上にいくぶん手間が掛かるため、後払い賃金である企業型確定拠出年金制度や中小企業退職金共済制度により無期雇用パートタイムを含めて客観的な基準で掛金を拠出する方法もある。
中小企業の場合は、国の掛金助成もある中小企業退職金共済制度を利用することが可能になっている。
6.事実に基づく諸手当その他の待遇の要件
上記「5.」で解説した基本給・賞与・退職金が、評価が必要な待遇であるのに対し、以下で解説する諸手当その他の待遇は根拠となる事実があれば雇用管理区分にかかわらず支給または適用されるべきものと考えられる。
待遇の相違が不合理と認められないために、あるいは諸手当その他の待遇として存廃を検討する際に、根拠となる事実の内容とともに、当該手当については労働基準法37条5項の割増賃金の基礎となる賃金(以下「基礎賃金」という。)から除外される賃金(以下「除外賃金」という。)か、併せて確認する必要がある。
除外賃金は、労働基準法37条5項(以下①②)および労働基準法施行規則21条(以下③~⑦)に列挙されており、①~⑦以外を除外賃金と扱うことはできない。
①家族手当
②通勤手当
③別居手当
④子女教育手当
⑤住宅手当
⑥臨時に支払われた手当(見舞金、祝い金など)
⑦1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など1箇月を超える期間ごとに定期的に支給され、その支給額があらかじめ確定していないもの)
上記①~⑤が除外賃金とされるのは、労働とは無関係な個人的事情による賃金によって割増賃金額が変わることが不合理であることによる。
したがって、名称を問わず、実際の費用に関係なく一律に一定額が支給される場合は、除外賃金にはならない。
次に、指針に示された諸手当その他の待遇の根拠となる事実の内容と今後の廃止を含めた取扱例を以下「表2」で示す。
検討に当たっては、上記の雇用管理区分ごとの格付け要件やポイント設定をベースに検討し、手当自体を廃止する場合は手当原資の一部または全部を賃金原資の総額に含める、または代替措置を設けることとする。
手当を廃止、変更する場合は労使協議を尽くし、代替措置などの激変緩和によるソフトランディングを目指す必要がある。
表2
諸手当その他の待遇の
根拠となる事実 |
今後の取扱例 |
役職手当であって、役職の内容に対して支給するもの | 廃止し、雇用管理区分ごとの格付け要件の業務内容に応じた職層に応じたポイントで調整する |
業務の危険度又は作業環境に応じて支給される特殊作業手当 | 廃止し、雇用管理区分ごとの格付け要件の業務内容(基幹業務)に応じたポイントで調整する |
交代制勤務等の勤務形態に応じて支給される特殊勤務手当 | 廃止し、雇用管理区分ごとの格付け要件の業務内容(基幹業務)に応じたポイントで調整する |
精皆勤手当 | 廃止し、雇用管理区分ごとの格付け要件の業務内容と評価格付けに応じたポイントで調整する |
時間外労働に対して支給される手当 | 通常の労働者と同一の基礎賃金および割増率にする |
深夜労働又は休日労働に対して支給される手当 | 通常の労働者と同一の基礎賃金および割増率にする |
通勤手当及び出張旅費 | 通常の労働者と同一にする。通勤手当は、通常の労働者が定期代、所定労働日が少ない者は実費、拠点エリア近隣(2km以内、自転車通勤)は未支給にできると思われる |
労働時間の途中に食事のための休憩時間がある労働者に対する食費の負担補助として支給される食事手当 | 営業の事業場外労働者のみに支給するなど客観的基準により支給または廃止する |
単身赴任手当 | 通常の労働者と同一にする |
特定の地域で働く労働者に対する補償として支給される地域手当 | 住所移動等がある雇用管理区分による客観的基準により支給する |
住宅手当(指針に具体例なし) | 全国から選考、住所移動等がある雇用管理区分による客観的基準により支給する |
家族手当(指針に具体例なし) | 単身労働者との不公平感もあるため廃止し、手当の原資は賃金原資の総額に含め、別途激変緩和措置を講じることが考えられる |
福利厚生施設(給食施設、休憩室及び更衣室) | 通常の労働者と同一にする |
転勤者用社宅 | 通常の労働者と同一にする |
慶弔休暇並びに健康診断に伴う勤務免除及び当該健康診断を勤務時間中の受診する場合の当該受診時間に係る給与の保障 | 通常の労働者と同一にする。慶弔休暇は、通常の労働者を含めて一定の継続労働月数以上で一定日数の付与が考えられる |
病気休職 | 労働契約期間中を限度として通常の労働者と同一にする。
ただし、通常の労働者を含めて一定の継続労働月数または年数以上で一定日数の付与が考えられる |
法定外の有給の休暇その他の法定外の休暇(慶弔休暇を除く。)であって、勤続期間に応じて取得を認めているもの | 通常の労働者と同一にする。労働基準法39条の比例付与に準じた付与が考えられる |
教育訓練であって、現在の職務の遂行に必要な技能又は知識を習得するために実施するもの | 通常の労働者と同一の業務の内容および職層の場合は同一にする |
安全に関する措置及び給付 | 通常の労働者と同一の業務の内容および職層の場合は同一にする |
7.まとめ
通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との不合理な待遇格差の是正は、上記「5.」の評価が必要な基本給・賞与・退職金では、就業規則等に雇用管理区分ごとの格付け要件とその具体的な評価要素を明示し、評価結果を支給額に反映することになる。
また、上記「6.」の事実に基づく諸手当その他の待遇では、できるだけ種類をシンプルにするとともに通常の労働者と適用事実が同じ場合は、同じように支給する必要がある。
短時間・有期雇用労働者は、決して景気変動の調節弁ではなく、企業の永続的な発展に欠かせない多様なニーズを持った人材(財)として活躍できるよう施行までに準備する必要がある。
以上